では、現代の日常会話やビジネスシーンにおいて、この言葉はどのように扱うべきなのだろうか。鉄則は極めてシンプルだ。「他人に対しては決して使わず、身内や自分自身をへりくだる場面(謙遜)に限定する」ことである。
例えば、フォーマルなパーティーや結婚式に参列する際、周囲から普段着とのギャップを褒められた時に自虐を込めて「いやあ、まさに馬子にも衣装ですよ」と返す使い方は、古風でスマートな謙遜として機能する。また、自分の子供や親しい弟妹が七五三や成人式で晴れ着を着た際に、親しい親族間で「馬子にも衣装で見違えたね」と微笑ましく語り合うのも許容範囲と言える。
一方で、上司や取引先の担当者、あるいは同僚の結婚式などで相手に向けて発言することは厳禁だ。どれほど仲が良くても、相手のルーツや普段の姿を否定するニュアンスが伝わり、人間関係に大きな亀裂を生むリスクがある。