ギャッジアップとは?正しい角度と背抜き手順|褥瘡を防ぐ介護の鉄則

ギャッジアップとは?正しい角度と背抜き手順|褥瘡を防ぐ介護の鉄則

ギャッジアップとは?正しい角度と背抜き手順|褥瘡を防ぐ介護の鉄則に関する質問を徹底的にまとめました。詳細な解説をチェックしましょう。

ベッドの角度変更が終わった時点で、利用者の背中や臀部の皮膚はマットレスのシーツに強く引き伸ばされ、目に見えない強い張力に晒されています。この緊張状態を放置すると、局所血流が途絶し、わずか1〜2時間で組織の虚血状態(発赤・褥瘡)へと進行します。この摩擦と圧迫をリセットする技術が「背抜き(圧抜き)」です。

日本社会事業大学准教授で高齢者福祉の実務・教育に精通する永嶋昌樹氏らの解説でも、ベッド上での姿勢保持における背抜きの重要性は極めて高く位置付けられています。介助者一人でも負担なく実施できる具体的なステップは次の通りです。

  1. 体幹の前傾(自立可能な場合):利用者が自力で少し動ける状態であれば、軽く前かがみになってもらい、背中をマットレスから完全に浮かせて再度背もたれに寄りかかり直してもらいます。これだけで背部の突っ張りは完全にリセットされます。
  2. 両手を用いたスライド法(全介助の場合):
    • 介助者は利用者の側面に立ち、手のひらを上(または下)にして、利用者の肩甲骨の後ろから腰部にかけて滑り込ませます。
    • 手のひらで利用者を持ち上げるのではなく、「自分の手をマットレスと利用者の背中の間でスライドさせる」ことで、生地と皮膚の引っ掛かりを解放していきます。
    • 肩口から挿入し、仙骨の手前まで手をスーッと抜くように動かします。滑りを良くするために、市販の低摩擦スライディンググローブを使用すると、介助者の腰痛予防と利用者の皮膚剥離防止に劇的な効果を発揮します。
  3. 臀部・大腿部の「圧抜き」も忘れず実施:背抜きを終えたら、膝裏や太ももの下にも手を差し入れ、臀部周辺に溜まったシーツのシワや皮膚の引き攣れを同様に逃がします。

背抜きを正しく終えた瞬間、利用者の表情がふっと和らぎ、深い呼吸ができるようになる様子は現場で日常的に観察される現象です。背抜きは単なる褥瘡予防にとどまらず、筋緊張を緩和して安楽をもたらすケアそのものです。

石川 優花
著者

石川 優花

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。