ネット上のコミュニティ(知恵袋、SNS、各種医療レビュー)や外来の初診問診票を調査すると、咳の診療科選択を誤ったことで受診の長期化を招いたリアルな体験談が数多く散見されます。
大手IT企業に勤務する30代男性の手記には、示唆に富む失敗談が記録されています。
「風邪が治った後も咳だけが1ヶ月以上止まらず、喉のイガイガが原因だと思い込んで耳鼻咽喉科を2件受診しました。『喉が少し赤い』と抗ヒスタミン薬やうがい薬をもらいましたが改善せず、毎晩の咳込みで睡眠障害に。最終的に呼吸器内科のクリニックを訪れたところ、呼気NO検査の数値が異常高値を示し、その場で『咳喘息』と診断されました。吸入ステロイド薬を開始してわずか3日で嘘のように咳が消え、もっと早く専門医にかかるべきだったと痛感しました」
また、現場の看護師や薬剤師からは、市販の総合感冒薬や咳止めシロップを2〜3週間にわたって連用し続ける危険性について強い警鐘が鳴らされています。市販の咳止め薬に多く含まれる「コデイン類」や「デキストロメトルファン」などの中枢性鎮咳成分は、延髄の咳中枢を麻痺させて一時的に反射を止めるだけであり、気道の炎症そのものを鎮火させる力はありません。それどころか、気道内に溜まった痰を排泄できなくなり、二次的な気管支炎や肺炎を誘発したり、咳発作の激しさから「肋骨骨折」や腹筋の筋断裂を引き起こしたりする事例が報告されています。