テレビ界での居場所を失った後、九代目市川中車としての顔を持つ男が選んだのは、愚直なまでに舞台に立ち続ける道だった。歌舞伎の舞台において、40代半ばから始めた芸の道は決して平坦ではない。立ち回りやセリフ回しにおいて厳しい批判に晒されながらも、頭を下げ、出番がわずかな役であっても舞台に立ち続けた。
彼の執念は、次第に独立系映画や小劇場といった原点回帰の場へと広がっていく。かつて見せた圧倒的な熱量はそのままに、どこか悲哀を帯びた泥臭い演技は、映画関係者の間で再び評価を高めつつある。完璧に舗装された民放の地上波ではなく、生の演劇と尖った映像作品の場で、自らの存在価値を再構築しようとする泥まみれの再始動が続いている。