ネット上の掲示板やYouTubeの解説動画で長年信じられてきた言説に、「創価学会に入るとテレビのキャスティングで優遇される」「学会員のタレントばかりがバーターで出演している」というものがあります。しかし、テレビ局のプロデューサーや民放編成関係者への取材から浮かび上がるのは、そうした「陰謀論的なゴリ押し説」の虚構性です。
民放キー局のキャスティング権限は、スポンサー企業の意向、視聴率獲得能力、広告代理店との力関係、そして何よりタレント自身の「数字(コア視聴率やTVer等の配信再生数)」によってシビアに決定されます。仮に宗教的な人脈だけでキャスティングを行えば、競合他社やスポンサーから即座にクレームが入り、番組自体の存続が危うくなります。
では、なぜ「学会員だから売れた」という錯覚が生まれたのでしょうか。その盲点は、「売れたタレントの中に、結果として学会員がいた」という生存者バイアスにあります。数万人に及ぶ無名の若手タレントや劇団員のうち、過酷な下積みを精神的に耐え抜き、人脈作りを泥臭く続けられた一握りの人々が世に出た際、そのメンタルの支えが信仰であったに過ぎません。組織のバックアップがあったとしても、それは劇場を満席にする初期ブースト程度であり、全国ネットのゴールデン帯で長年冠番組を持ち続けるような実力(トーク力、好感度、アドリブ力)は、宗教の力だけで獲得できるものではないのがエンターテインメント業界の冷徹な現実です。