世界のバレーボール界における長年の常識は「高さこそが最大の武器」という単純明快なものだった。2メートルを超える大柄なブロッカー陣を並べ、上から叩き込む。それが勝者のセオリーだった時代は終わった。
現在の日本代表が見せる戦術の核は、セッターがボールに触れてから打球に至るまでの時間を極限まで削ぎ落とした「超高速トランジション」だ。相手の強力なサーブをセッターの頭上に正確に返すだけでなく、乱れたレシーブからでもバックアタック(パイプ攻撃)を第二、第三の選択肢として常時機能させる。相手ブロック陣は、誰がどこから飛んでくるのか最後まで絞り込むことができない。
相手の身長がいくら高くても、ブロックの手が完成する前に空間を打ち抜いてしまえば関係ない。この物理的制約を戦術的スピードで無効化するスタイルこそが、世界中のアナリストを脱帽させている最大の要因だ。