ネット掲示板やSNSでは「消毒した縫い針で突いて水を出せば痛みが引く」「糸を通しておくと水が抜け続ける」といった噂が都市伝説のように語り継がれている。しかし、皮膚科専門医の立場から言えば、自己判断で水ぶくれを破る行為は非常に危険な賭けにほかならない。
医学的に「摩擦水疱」と呼ばれるこの症状は、皮膚の表皮と真皮が剪断力によって剥離し、その隙間に組織液が溜まることで発生する。水ぶくれの「蓋」となっている皮膚は、外界の雑菌から傷口を守る天然の無菌バンデージなのだ。日本皮膚科学会の治療ガイドラインでも、感染リスクを防ぐために皮小蓋(水ぶくれの皮膚)を可能な限り保存することが推奨されている。不用意に潰すと黄色ブドウ球菌などの細菌感染を引き起こし、蜂巣炎などの重度な炎症に進行して、歩けないどころか入院を余儀なくされる事態に陥るリスクすら存在する。