香ばしい醤油とみりんの焦げる匂い。重箱の蓋を開ける瞬間の高揚感。私たちが土用の丑の日に鰻重を求める際、味わっているのは魚の肉だけではない。江戸から続く季節の情緒であり、先人たちが猛暑を生き抜くために共有した「粋」の精神そのものである。
平賀源内という男は、時代の先を行き過ぎたがゆえに多くの挫折を味わい、晩年には悲劇的な結末を迎えた。しかし、彼が江戸の街に仕掛けた言葉の魔術は、幕府が滅び、生活様式が一変した現代社会でも生き続けている。
看板一枚で人の心を動かし、食文化の生態系を作り替えた奇才の企み。その全貌を知ったうえで味わう鰻は、これまでとはひと味違う、歴史の深遠な苦味と知性の香りを運んでくれるはずだ。 (出典: うなぎ 平賀 源内(Yahoo!ニュース))
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