かつては地域限定の色彩が強かったこの方言が、なぜこれほどまでに広い世代へ浸透したのか。その起爆剤となったのは、日本のエンターテインメント・放送業界における関西カルチャーの圧倒的な発信力だ。
昭和から平成にかけて、映画『じゃりン子チエ』が活写した下町の人情味あふれる掛け合いや、吉本興業ホールディングス所属の芸人たちが全国ネットのお笑い番組でみせた丁々発止のやり取り。とりわけ明石家さんまをはじめとするトップランナーたちが、ゲストのわざとらしいボケに対して絶妙なタイミングで放つツッコミは、視聴者の耳に「心地よいリズム」として刻み込まれていった。
さらに近年、NHK連続テレビ小説『ブギウギ』などで描かれた生き生きとした関西弁のグルーヴや、TVerやNetflixといったプラットフォームによる番組のタイムシフト・全国同時視聴が、地域差の壁を一気に突き崩した。地方ローカル番組発のバラエティであっても、配信を通じて瞬時にクリップ化され、全国の視聴者が「しらこい」というフレーズの持つ特有のグルーヴを自然とインストールしていく土壌が整ったのだ。