奥四万湖の四万ブルーは、1年を通じて一定ではありません。季節ごとの降水量、水温、周囲の植生、そしてダムの水位によって、湖面はまったく異なる情景を織りなします。訪れる時期を誤ると、「期待していた色と違った」という落胆につながりかねません。四季折々の特徴と狙い目のコンディションを正確に把握しておく必要があります。
湖水が最も濃密で鮮やかなコバルトブルーに染まる年間のベスト時期は、3月下旬から5月上旬の春先です。周囲の三国山脈から雪解け水が大量に流入するこの季節は、水温が低くプランクトンの繁殖が完全に抑えられており、年中で最も水が澄み渡ります。さらに、ダムの水位が年間の最高水準に達することで、湖岸の新緑のシラカバやヤナギが水中に浸かる「水没林(すいぼつりん)」が出現します。透き通るブルーの水面から若々しい緑の枝葉が伸びる姿は、春の約1か月間しか見られない幻の光景です。
続いて見逃せないのが、10月中旬から11月上旬にかけてピークを迎える奥四万湖の紅葉見頃です。カエデ、ナナカマド、ブナが赤や黄色に燃え上がり、常緑樹の深い緑とコバルトブルーの水面との間に圧倒的な色彩のコントラストを生み出します。湖畔を取り囲む標高1,000メートル前後の山々が鏡のような湖面に映り込むシンメトリーの絶景は、数多くの写真愛好家を惹きつけてやみません。