メディアを連日賑わせたあの熱狂から20年以上。2003年7月生まれの風太くんは、人間換算で80歳を優に超える超高齢に達しています。野生のレッサーパンダの平均寿命がおよそ10〜12年、飼育下でも15年前後とされるなか、風太くんが2026年現在も命を繋いでいること自体が、動物園界におけるひとつの奇跡と呼べる出来事です。
取材に対し、飼育担当スタッフは次のように語っています。
「若い頃のようにスッと背筋を伸ばして周囲を見渡す姿は少なくなりました。白内障による視力の低下や足腰の衰えは見られますが、大好きなリンゴや竹の葉を自分のペースでしっかりと咀嚼し、マイペースに日向ぼっこを楽しんでいます。現在は気候や本人の当日のコンディションを最優先し、展示の有無や時間を柔軟にコントロールしています」
公の場で見せる表情には、激動のブームを駆け抜けた風格と深い落ち着きが漂っています。SNS上でも「ガラス越しに穏やかに眠る姿を見るだけで胸が熱くなる」「長生きしてくれてありがとう」といった温かい声が絶えません。ただ珍しい動きを消費する時代から、ひとつの命の尊厳を見守る時代へ。風太くんの存在は今、動物園における「終生飼育と福祉(アニマルウェルフェア)」の象徴として、再び社会的な注目を集めているのです。