福島県金山町が今、多くの旅人や移住希望者を引きつけてやまない最大の理由は、「作為的に作られていない、手つかずの日本の原風景と特異な地質資源の共存」にあります。只見川の川霧に包まれる朝靄の中、川面に鏡のように映り込む集落の姿は、いつしか旅人の間で「日本のハルシュタット」と称されるようになりました。さらに、世界的にも数えるほどしか存在しない自然湧出の炭酸水井戸が、誰にでも開放された形で集落の外れに静かに息づいています。
観光消費型の大型リゾート開発とは対照的に、金山町に残るのは日々の営みが織りなす素朴な生活景です。JR只見線の復旧を経て交通インフラとしての価値が見直された結果、過度な商業化を逃れてきた奥会津本来の静寂と、豊かな温泉文化、そして滋味あふれる伝統野菜「奥会津金山赤かぼちゃ」といった風土の恵みが、効率一辺倒の都市生活に疲弊した現代人の琴線に触れているのです。