ネット上の情報では「一晩漬ければ漬けるほど美味しくなる」と語られることが多いが、ここには調理科学的な誤解が含まれている。いわゆる味玉一晩漬け込みの真相を検証すると、漬け込み時間が24時間を超えると味のバランスが崩れ始めることが判明している。
浸透圧の作用によって、調味液の塩分が卵内部に入り込む一方で、黄身に含まれる自由水が外の調味液へと排出される「脱水現象」が進む。その結果、漬け込みから48時間以上経過すると、黄身の周縁部がゴムのように硬化し、過度に塩辛くなってとろとろの質感が失われてしまう。最も味が乗って美味しく食べられるピークは「漬け始めから8時間〜12時間(一晩)」であり、それ以降も保存する場合は、袋から卵を取り出して別の清潔な密閉容器に移すのがプロの鉄則である。
また、作り置きにおける煮卵日持ち保存期間の目安については、食品衛生の観点から以下の日数を厳守したい。
- 半熟煮卵(黄身がとろとろの状態):冷蔵保存で3日〜4日以内
- 固ゆで煮卵(中心まで凝固した状態):冷蔵保存で4日〜5日以内
半熟卵は中心部が殺菌温度に達していないため、水分活性が高く雑菌が繁殖しやすい環境にある。常温放置は数時間であっても厳禁であり、必ず10℃以下の冷蔵室で管理することが不可欠である。