千刈キャンプの歩みを紐解くには、関西学院が貫いてきた全人教育の根幹に目を向ける必要があります。1950年代半ば、兵庫県三田市の豊かな山林と千刈水源地に隣接する風光明媚な地に開設された同施設は、単なるレジャー施設ではなく、正式な関学のキリスト教教育施設として位置づけられていました。自然の厳しさと美しさに直面しながら他者と共同生活を営み、自己の内面と対話する場として、創立以来のスクールモットー「Mastery for Service(奉仕のための練達)」を体得する実地道場だったのです。
時代の要請に合わせて施設も進化を遂げました。当初のテント主体の質素な野外営地から、バンガロー群やチャペル、屋外炊飯場が整備され、後には本格的な研修棟である「千刈カンファレンスセンター」が併設されました。これにより、初夏の新入生合宿だけでなく、ゼミ合宿、宗教教育研修、さらには高等部・中学部の課外授業まで、年間を通じて数千人規模の学生・生徒が訪れる一大拠点へと発展を遂げたのです。
ここで千刈キャンプ場に関する詳細まとめとして特筆すべきは、学生自身が主体となって運営を支えた独自のリーダーシップ教育の存在です。上級生から選抜された学生たちが後輩の心を開き、対話をファシリテートするシステムは、日本の大学教育におけるピアサポート(仲間同士の支援活動)の先駆的モデルとして高く評価されていました。