近年、メディアや就職市場で話題となる「CA身長制限撤廃」のニュース。その背景には、ダイバーシティ&インクルージョン(多様性の尊重)の推進と、雇用機会均等に関する国際的な法規制の厳格化があります。しかし、「制限撤廃=誰でも身長に関係なくフライトできる」という意味ではない点に注意が必要です。
日系2大キャリアであるANAとJALの採用動向を取材・分析すると、選考現場のリアルな実態が浮かび上がってきます。
ANA CA採用基準においては、募集要項上の「身長〇〇cm以上」という文言は完全に撤廃されています。しかし、応募資格や身体条件の補足として「航空機乗務に際し、必要な体力を有し、呼吸器・循環器・耳鼻咽喉・眼球・腰椎等に支障がないこと」に加え、選考時のアームリーチ測定や機内モックアップでの実技テストが導入されています。
一方のJAL客室乗務員身長条件も同様に、公的な数値基準は表記されていません。ただし、最終選考周辺で実施される身体検査およびメディカルチェックにおいて、「頭上にある非常用装備品に手が届くか」「緊急時に脱出用スライドやドアの操作を安全に行えるか」という機能的なチェックが厳格に行われます。
つまり、航空会社が求めているのは「見た目のスラリとした身長」ではなく、「保安要員として定められた高低差のタスクを完遂できる身体可動域」なのです。表面的な数値制限は撤廃されたものの、実質的な機能基準が厳密に運用されているのが最新の実態と言えます。