かつては「日本人の総中流」を象徴していたマス層ですが、足元ではマス層からの脱出を急ぐ層と、取り残される層の分断が顕著になっています。その最大の引き金となったのが、長期化するインフレと新NISA制度の浸透です。
物価が上昇し続ける環境下では、現預金だけで資産を保有していることは実質的な資産の目減りを意味します。「ただ貯金していれば安心」という昭和・平成の常識が通用しなくなった現実をいち早く察知した層は、資産の置き場所を預金口座からオルカン(全世界株式)やS&P500といった世界経済の成長へ移しました。この数年間の株式市場の力強いリターンを享受した世帯は、給与の手取りが横ばいであっても、資産残高を1000万、2000万と急激に増やし、マス層からアッパーマス層へと駆け上がっています。
ネット上の掲示板やSNSでの反応を見ると、この格差に対する生々しい声が溢れています。
「給料は上がらないのに食費や光熱費ばかり高騰して、貯金どころではない」「投資に回す余剰資金がない世帯は、物価高でマス層の底へ沈んでいる」という悲鳴が上がる一方で、「新NISAを満額埋める勢いで積立を続けた結果、気がつけばアッパーマス層に到達していた」「投資をしているか否かだけで、同世代の間で数千万円の資産差がついている」という報告も目立ちます。マス層を脱出する最大の理由は、もはや贅沢をするためではなく「インフレによる経済的没落を防ぐ自己防衛」へと変化しています。