住宅設計の現場でふかし壁が活用されるシチュエーションは主に4つに大別されます。いずれも「ノイズレスな美しい空間デザイン」と「機能性の向上」を両立させるための定番手法です。
1. 壁掛けテレビの完全隠蔽配管と耐荷重補強
リビングの主役となる大型テレビを壁掛けにする際、電源ケーブルやHDMIコードが露出すると一気に生活感が出てしまいます。ふかし壁を造作し、内部に空配管(CD管等)を通しておくことで、コード類を一切見せずにテレビとAVボード間をスッキリ接続できます。さらに、下地合板をあらかじめ仕込むことで、重量のある75インチ以上の大型モニターや可動式金具の耐荷重(約30kg〜50kg以上)を確実に確保できる点も強みです。
2. 建築化照明(コーブ照明・コーニス照明)の演出
ふかし壁の上部や下部、あるいは左右を数センチ浮かせ、内部にLEDライン照明を埋め込むことで、壁面や天井を柔らかく照らす間接照明が実現します。壁面の陰影が強調され、ホテルライクで奥行き感のあるラグジュアリーなLDK空間を創出できます。
3. トイレ・洗面所・キッチンの配管隠しとニッチ造作
マンションリフォームで排水管の移設ルートが確保できない場合、床や壁をふかして配管隠しを行います。特にトイレリフォームでは、便器背面の排水立ち上がりを隠すために腰高のふかし壁を作り、その上部をディスプレイスペースやペーパーホルダー内蔵のニッチ造作として活用する設計が定番です。キッチンまわりでも、給排水管や食洗機の専用配線をスマートに収めるために重宝されます。