妊娠20週前後で実施される超音波検査は、通常の妊婦健診で行われる「羊水量と心拍のチェック」とは一線を画す。いわゆる中期胎児ドック、医学用語でいう胎児形態異常スクリーニングだ。胎児の体重は約300〜350グラム。内臓の基本構造が完成し、かつ羊水腔が十分に広いため、超音波ビームが遮られずに全身を隈なく走査できる黄金のタイミングにあたる。
日本超音波医学会や日本産科婦人科学会が策定するガイドラインに沿って、医師や専門のソノグラファーは頭の先から足の指先まで、数十項目に及ぶチェックリストを機械的かつ冷徹に潰していく。頭蓋骨の形状に歪みはないか。側脳室の拡大や小脳の低形成はないか。心臓の4つの部屋は均等に拍動し、大血管の交差に乱れはないか。母親が画面に映る「あくび」や「指しゃぶり」に微笑んでいる数十秒の間、プローブを握る手は、ミリ単位の異常も見逃すまいと緊張を研ぎ澄ませている。