長年受け継がれてきたこの幾何学的な棚田群は、農林水産省の「日本の棚田百選」に選定され、その歴史的価値が再評価された。さらに文化庁は、長年培われた棚田の営みと自然風景が調和する文化的価値を高く評価し、農林水産業関連として全国で初めて「重要文化的景観」に指定した。
しかし、急斜面での手作業による農作業は過酷を極め、後継者不足や耕作放棄地の増加という現実に直面している。そこで今、地域の保存会と行政が一体となり、オーナー制度やボランティアによる保全活動を進めている。体験型の観光・アグリツーリズム産業へと発展させる取り組みも加速しており、旅行客が米作り体験を通じた保全支援に関わるケースが増えている。風景を守る営みそのものが、現代の新しい観光資源として育ちつつあるのだ。