不法原因給付が現実の現場で問題となる代表的なケースとして、「愛人契約の手当」と「違法な賭博の借金」が挙げられます。これらは契約自体が無効であるにもかかわらず、返還請求が拒まれる典型例です。
裁判所は一貫して、性的な関係の対価として金銭を支払う契約(いわゆる妾契約・愛人契約)を公序良俗違反として無効と判断しています。したがって「契約に基づく支払義務」自体は法的に存在しません。しかし、自ら進んで「お手当」や生活費、マンションを買い与えてしまった場合、それは不法な原因による「給付」が成立したとみなされます。関係が破綻した後に「騙されていた」「契約が無効だから全額返せ」と訴えても、裁判所は返還を認めません。
同様に、裏カジノや賭け麻雀・賭けゴルフなどで発生した「賭博の借金(負け分)」も法律上は無効です。借金を請求されても支払う義務はありません。しかし、負けた側がその場で現金を支払ったり、後日口座へ振り込んで清算してしまった場合、自ら不法原因給付を行ったことになり、後から「違法な賭け金だから返還しろ」と請求しても門前払いとなります。