ドラマや舞台での活躍にとどまらず、加藤治子さんは声優としてもアニメーション史に残る名演を遺しています。代表的な作品が、宮崎駿監督によるスタジオジブリの不朽の名作『魔女の宅急便』(1989年)です。
加藤さんが声を担当したのは、主人公キキにニシンとカボチャの包み焼きパイを託す「優しい老婦人」役でした。上品で包容力に満ち、どこか哀愁を漂わせるその声の演技は、作品の世界観に深い奥行きを与え、公開から数十年が経過した現在も世界中のアニメファンから愛され続けています。
さらに2004年のジブリ映画『ハウルの動く城』では、一転して冷徹さと圧倒的な威厳を併せ持つ王室付き魔法使い・サリマン役を怪演。優雅な物腰の裏に潜む冷徹な権力者の凄みを声だけで見事に表現し、名優としての底力を改めて世に見せつけました。