世界中のボクシングファンが固唾をのんで見守った井上尚弥 タパレス 試合結果は、井上選手による10ラウンド1分2秒KO勝利という劇的な幕切れを迎えました。試合前の予想では「序盤での圧勝劇」を期待する声も一部にありましたが、リング上で繰り広げられたのは息詰まるような極上のチェスゲームでした。
試合が大きく動いたのは第4ラウンド終了間際でした。井上選手が放った強烈な左フックがタパレス選手のテンプルを捉え、ロープ際での猛烈な連打によってタパレス選手が崩れ落ち、最初のダウンを奪います。しかし、ここからフィリピンの雄が見せた驚異的なリカバリーと戦術修正が、この一戦を歴史的名勝負へと昇華させました。
サウスポースタイルのタパレス選手は、シェルガードとショルダーロールを組み合わせた堅牢なディフェンスを構築。頭部を低く沈めながら鋭いジャブと左ストレートのカウンターを狙い、井上選手の強打を巧みに殺す技術を披露しました。中盤の5ラウンドから8ラウンドにかけては、タパレス選手の放つパンチの軌道が井上選手の顔面をかすめる場面もあり、会場には独特の緊張感が漂いました。
迎えた第10ラウンド、決着の瞬間は唐突に、しかし必然として訪れます。井上選手が放った完璧なワンツー。ガードの隙間をミリ単位で突き抜けた右ストレートがタパレス選手の顔面を捉えると、一瞬のタイムラグの後にタパレス選手は膝から崩れ落ちました。10カウントの合図が響くまで立ち上がることができず、井上選手のKO勝ちが確定した瞬間、有明アリーナは割れんばかりの歓声に包まれました。