漫画『ワンパンマン』を語る上で避けて通れないのが、作画担当・村田雄介氏による狂気的とも言える描き込みの密度です。『アイシールド21』時代から定評のあった圧倒的な人体デッサン力と立体把握能力は、本作においてさらなる進化を遂げました。
読者を驚嘆させる最大の要因は、静止画であるはずの漫画に「動きの連続性(アニメーション性)」を落とし込む卓越した画面構成にあります。ページをめくる速度と読者の視線誘導をミリ単位で計算し尽くし、キャラクターの筋肉の躍動、衝撃波の広がり、建造物が粉砕される破片の一つひとつまで正確なパースで描写。パラパラ漫画の要領で見開きを連続させるバトルシーンは、読者にまるで劇場版アニメをコマ送りで見ているかのような錯覚を与えます。
代表的な神作画シーンとして名高い「ジェノス vs サイタマの模擬戦」や「ムカデ長老の出現シーン」、さらには「サイタマ vs ガロウの宇宙規模バトル」などでは、白黒原稿でありながら光の陰影や空間の広がりが圧倒的な筆致で描き出されています。手描きのアナログ技術と最新のデジタル作画ツールを高度に融合させ、作家自身の限界を削りながら描かれる原稿は、国内外のプロクリエイターからも絶大なリスペクトを集めています。