かつて東映動画(現・東映アニメーション)の現場で叩き上げられ、ダイナミックな活劇や重厚なファンタジーを築いてきた宮崎駿。一方、クラシックや欧米のポップスを巧みに吸収し、日本の歌謡界をモダンなニューミュージックへと塗り替えた荒井由実。出自の異なる2つの才能の交差は、日本のアニメーション産業における音楽の役割を劇的に変革した。
映画の宣伝用タイアップという枠組みを超え、既存の音楽カルチャーがアニメーションの文脈と深く共鳴し合う手法は、以後の日本映画界におけるスタンダードとなった。『魔女の宅急便』のオープニング『ルージュの伝言』とエンディング『やさしさに包まれたなら』という2つの記号は、アニメ表現が単なる子ども向け娯楽から、大人の鑑賞に耐えうる総合芸術へと飛翔した転換点そのものだったと言える。