2010年代以降、ネット文化の進展が新たな問題を呼び込む。YouTubeの実況配信者や肝試し目的の若者、さらには廃墟写真家が昼夜を問わず現場に押し寄せるようになった。廃墟研究家の栗原亨が提唱してきたような、歴史や産業遺構としての敬意ある「廃墟鑑賞」の文脈とは大きく乖離し、現場はスリルを求める侵入者の無法地帯と化した。
ABEMAのオカルト特番やNetflixのホラー系ドキュメンタリーが配信カルチャーを後押しする一方、現地の被害は深刻化する。バリケードの損壊、不法侵入、ゴミの不法投棄、深夜の騒音。廃墟ツーリズムという言葉の裏で、地元住民は日常の平穏を脅かされ続け、警察によるパトロールと摘発が繰り返される事態が常態化していった。