現役引退後、彼は14代井筒親方として部屋を継承した。しかし、その前途は決して平坦なものではなかった。伝統ある井筒部屋の暖簾を守る重圧と、看板力士の育成という厳しい現実に直面することになる。
大相撲本場所での勝ち星を争う勝負の世界において、親方の仕事は単なる技術指導にとどまらない。弟子たちの人間性を磨き、厳しい生活環境の中でモチベーションを維持させ続ける精神的支柱でなければならなかった。日本相撲協会の中でも一目置かれる存在として、彼は角界全体の発展を見据えながら、黙々と弟子たちの稽古場を見守り続けた。