物語に深い陰影と哀愁を与えていたのが、武田真治、鈴木杏樹、深津絵里の3人だ。彼らの演じたキャラクターの選択と挫折が、青春の残酷さを際立たせていた。
武田が演じた圭介は、将来を嘱望されながらも事件によって夢を絶たれ、精神的な傷を抱える極めて難しい役どころだった。繊細すぎる少年の壊れゆく心を体現した武田は、その後、表現者としての枠を大きく広げ、音楽、ミュージカル、バラエティと縦横無尽に才能を開花させていく。
鈴木杏樹が演じた薫は、若者たちの間で揺れ動く感情を受け止めながらも、自らの現実と向き合う強さを持っていた。当時すでにクリーンなイメージで絶大な人気を博していた鈴木は、この作品で等身大の女性の切なさと芯の強さを好演。現在も変わらぬ品格と親しみやすさで多くのファンに愛されている。
そして、亮子役を演じた深津絵里の存在感は当時から突出していた。夢と現実の狭間で揺れる苛立ち、言葉にできない孤独を、台詞以上に「視線」や「沈黙」で語る演技力。日本アカデミー賞最優秀主演女優賞をはじめ数々の栄冠を手にした現在の名声は、この当時すでにはっきりと予見されていた。