多くの参拝者が拝殿で手を合わせるだけで満足して立ち去ってしまうが、現地取材を通じて見えてきたのは、真に神気を受け取るための「知られざる参拝手順」の存在だ。本殿を参拝した直後、そのまま出口へ向かってはならない。運命の好転を真剣に願うならば、まずは主祭神の猿田彦大神が鎮まる本殿で過去の執着を手放し、自らの志を宣誓することから始まる。
次に向かうべきは別宮の椿岸神社だ。天之鈿女命の柔らかな気に触れ、良縁と心の調和を祈願する。そして社殿の脇へ回り込むと、清冽な御神水が絶え間なく流れ落ちる「かなえ滝」が現れる。滝のせせらぎを耳にしながら深呼吸し、持参したカメラで滝を収めてスマートフォン等の待受画面に設定する参拝者が後を絶たない。古くから霊験あらたかとされるこの場所で、雑念を祓い落とす。さらに境内奥の「御船磐座(みふねのいわくら)」を静かに拝することで、自分自身の核となる決意が固まる。パワースポット・スピリチュアルという軽妙な言葉だけでは語り尽くせない、自己対話の儀式がそこにある。