日本の循環型社会づくりの草分けとして、真っ先に名が挙がるのが北九州エコタウン事業だ。洞海湾の公害克服という歴史的背景を背負い、製鉄や化学で培った重工業の技術を集約。家電や自動車、ペットボトルのリサイクル工場が集積する同エリアは、学術研究都市としての機能も併せ持ち、官民学が連携する先進モデルを世界に提示した。一方、首都圏の産業資源が集中する川崎エコタウン構想は、臨海部の巨大工場群が互いの副産物や排熱を融通し合う「インダストリアル・シンバイオシス(産業共生)」の極致を追求してきた。
この二つの先行事例に共通するのは、国家戦略としてのバックアップ体制だ。経済産業省と環境省が共同で指定を行い、補助金や規制緩和を組み合わせたことで、民間投資の呼び水となった。臨海部の広大な敷地と物流インフラを活用し、重厚長大産業のノウハウを循環型へとシフトさせた知見は、国内外の都市計画における教科書として今なお強い影響力を誇っている。