1995年、辻仁成と南果歩の結婚は当時のカルチャー界に大きな衝撃を与えた。舞台や映画で圧倒的な演技力を見せていた南果歩と、新進気鋭の作家として頭角を現していた辻仁成。二人の結びつきは単なる夫婦の枠を超え、強烈なインスピレーションを与え合う同志でもあった。
同年に長男が誕生し、辻は家庭人としての責任を背負いながら創作活動を加速させる。だが、お互いに妥協を許さない表現者であるがゆえの葛藤やすれ違いは避けられず、2000年に二人は婚姻関係に終止符を打った。破局後も南果歩は日本映画界の第一線で存在感を放ち続け、辻もまた自身の道を模索し続ける。別々の道を歩みながらも、互いの才能を認め合っていた濃密な5年間は、辻の文学的深化において欠かせない一節だった。