井上陽水『氷の世界』はなぜ日本初ミリオンに?名曲の真実を徹底解剖の基礎知識と応用に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。
アルバム『氷の世界』を語る上で欠かせないもう一つの決定打が、当時まだRCサクセションとして苦闘の最中にあった忌野清志郎との共作です。アルバムのA面4曲目に収録された「帰れない二人」は、陽水と清志郎がひとつの部屋でギターをつまびき合いながら、夜を徹してメロディと言葉を紡ぎ出した珠玉のバラードです。
「あかりを消して話そう」「星のない夜」と語りかける切実な叙情は、陽水の持つ透明感あるメランコリーと、清志郎が宿す魂のブルースが見事に融解した奇跡の結晶と言えます。二人は同セッションから「待ちぼうけ」も生み出しており、日本のロック/ポップス史における天才同士の交感が、このアルバムの奥深さを決定づけました。
曲順 / タイトル作詞 / 作曲 / 編曲楽曲の構造・音楽的特徴編集部の解説・重要性A-1. あかずの踏切り井上陽水 / 井上陽水 / 星勝ブラスを効かせたアッパーなロックチューンフォークの先入観を冒頭から打ち破るオープニング。A-2. はじまり井上陽水 / 井上陽水 / 星勝抒情的なメロディとアコースティックの調和静けさの中に陽水特有の声の艶が際立つナンバー。A-3. 帰れない二人井上陽水・忌野清志郎(共作) / 星勝美しく切ないフォーク・バラード清志郎との共作が生んだ日本音楽史に残る珠玉の名曲。A-4. チエちゃん井上陽水 / 井上陽水 / 星勝ノスタルジックな語り口とストリングス初期陽水の世界観を色濃く残す哀愁のナンバー。A-5. 氷の世界井上陽水 / 井上陽水 / 星勝・ニック・ハリソン重厚なファンク・グルーヴと鋭利なカッティングロンドン録音の結晶。アルバムの核となる表題曲。A-6. 白い一日小椋佳 / 井上陽水 / 星勝極めて静謐な弾き語り主体のトラック小椋佳の文学的な詞に陽水が旋律を付けた名コラボ。A-7. 自己嫌悪井上陽水 / 井上陽水 / 星勝軽快なシャッフルに乗せた自虐的スケッチユーモアとシニカルが同居する陽水節の真骨頂。B-1. 心もよう井上陽水 / 井上陽水 / 星勝劇的なストリングスアレンジと情緒あふれる旋律大ヒットを記録し、アルバムミリオンへの扉を開いた名曲。B-2. 待ちぼうけ井上陽水・忌野清志郎(共作) / 星勝疾走感のあるポップ・ロックビート清志郎との共作第2弾。遊び心あふれる軽妙な仕上がり。B-3. 桜三丁目井上陽水 / 井上陽水 / 星勝混沌としたサイケデリックな音像都会の路地裏の不条理を実験的アレンジで構築。B-4. 特急連絡船井上陽水 / 井上陽水 / 星勝旅情と孤独を運ぶミディアムテンポ陰影に富んだアレンジが情景を鮮やかに浮かび上がらせる。B-5. 太陽の町井上陽水 / 井上陽水 / 星勝ダイナミックなブラスセクションと明快なビート表題曲「氷の世界」と鮮やかな対比をなす陽光の意匠。B-6. おやすみ井上陽水 / 井上陽水 / 星勝穏やかな子守唄のようなアコースティック小品波乱に満ちた大作アルバムを優しく静謐に締めくくる終曲。
この全13曲の配置からも分かる通り、アルバムは単なるフォーク作品ではなく、プログレッシブ・ロック、ソウル、ファンク、歌謡曲的メロディが渾然一体となった、極めて完成度の高いトータルアルバムとして構築されていました。