ファミリーマートの店頭からイートインが姿を消している背景には、単なる一時的なトレンドの終わりではなく、コンビニ経営を取り巻く複数の構造的要因が複雑に絡み合っています。流通アナリストへの取材や現場ヒアリングから見えてきた4つの閉鎖原因を紐解きます。
第1の要因は、大ヒットを記録しているオリジナル衣料品ブランド「コンビニエンスウェア(Convenience Wear)」の売り場拡大です。世界的デザイナーの落合宏理氏と共同開発したソックスやインナー、Tシャツ、スウェット類は、従来の「緊急買い」にとどまらず、若年層から中高年まで「指名買い」される主力カテゴリへと急成長を遂げました。客単価が高く利益率も良好な衣料品をしっかりと陳列・展開するためには相応の売り場面積が不可欠であり、稼働率の落ちていたイートインスペースがその拡張用地として白羽の矢を立てられたのです。
第2の要因は、2019年秋の消費増税に伴い導入された「軽減税率制度」による現場オペレーションの摩擦です。テイクアウト(軽減税率8%)と店内飲食(標準税率10%)の税率差を巡り、レジでの自己申告確認の手間や、8%で購入した後にイートイン席で飲食する「イートイン脱税」と呼ばれるトラブルが頻発。人手不足が常態化する現場スタッフにとって、過剰な精神的・業務的負荷となっていました。
第3の要因は、防犯・衛生管理コストと長時間滞在マナーの問題です。コンセント付きの席でPC作業を何時間も続けるノマドワーカー、中高生の長時間のたまり場化、アルコール類の持ち込みによる騒音トラブルなど、実質的な購買を伴わない占有が現場の大きな課題となっていました。定期的な清掃やゴミ箱の管理を含め、投じる労力に対して店舗売上への貢献度が著しく低くなっていた実態があります。
第4の要因は、店舗全体の「坪効率(面積あたり売上高)」の最大化です。都市部や商業地を中心に地代家賃が高騰するなか、座席スペースを物販棚やセルフレジ、あるいはデジタルサイネージ広告スペース(リテールメディア)へ転換したほうが、店舗あたりの採算性が格段に向上するというデータが実証されたことが決定打となりました。