そもそも原作者である藤子・F・不二雄先生は、なぜこれほどまでにしずかちゃんの入浴場面を繰り返し描いたのでしょうか。
昭和の漫画界において、手塚治虫氏や赤塚不二夫氏らが築いたトキワ荘文化の流れを汲む作家たちにとって、少年誌における女性キャラクターの入浴シーンは「健康的で無邪気なお色気サービス」であり、喜劇のテンションを一気に跳ね上げる伝統的なお約束技法でした。のび太の情けなさとしずかちゃんの清潔無垢な聖域とを衝突させることで、最も純粋なドタバタ劇を生み出す王道装置だったのです。
現在のSNSやネット掲示板における視聴者の反応を検証すると、世代や立場によって意見が鋭く二極化しています。
「昭和・平成のドラえもんで育った世代」からは、「あれは単なるマンガ的ギャグであり、過度なポリコレ規制で名物シーンが消えるのは寂しい」「のび太に悪意がないことは誰もが知っている」といった懐かしさを惜しむ声が寄せられます。
一方で「現役で子育てを行う親世代」からは、「幼児が真似をして他人の家の風呂場を開けようとしたら困る」「性的な境界線を学ぶ幼少期に見せる描写としては見直されて当然」という極めて現実的な支持意見が多数を占めています。
また近年では、YouTubeやpixivなどの二次創作カルチャーにおいて「お風呂キャンセル界隈」と呼ばれるネットスラングと対比させ、1日3回入浴するしずかちゃんの女子力の高さをパロディ化する新たなムーブメントも生まれています。