日本中を驚かせた二人の出会いは、1986年に公開された山田洋次監督の国民的映画『男はつらいよ 幸福の青い鳥』での共演でした。マドンナ役に抜擢された志穂美悦子と、彼女に恋心を抱く看板屋の青年・健吾役を演じた長渕剛。この現場で起きたある劇的なハプニングが、二人の距離を一気に縮めることになります。
ロケの撮影中、志穂美が左手の薬指を骨折するアクシデントが発生しました。激痛に耐える彼女を誰よりも早く介抱し、自ら病院へ付き添って献身的な看病を続けたのが長渕でした。当時の関係者の証言によると、トップアクション女優として弱音を吐かずに走り続けてきた志穂美にとって、強烈な不器用さと底抜けの優しさを剥き出しにしてぶつかってくる長渕の情熱は、乾いた心に深く染み入るものだったと語られています。
交際開始からわずか数か月後の1987年、二人は電撃結婚を発表。婚姻届の提出と同時に志穂美は芸能界引退を宣言しました。結婚会見で見せた長渕の誇らしげな笑顔と、一歩引いて夫を見つめる志穂美の凛とした表情は、当時のワイドショーを独占。「アクション界の女王」が家庭に入るという決断は世間に大きな衝撃を与えましたが、そこには「この男を命がけで支える」という志穂美自身の強い覚悟がありました。