石油ファンヒーターのトラブルは、前触れなく発生するように見えて、実際には内部の化学的・物理的な変化が段階的に進行した結果として引き起こされます。代表的な症状とエラーの原因を整理します。
最も相談件数が多いトラブルが、石油ファンヒーター着火しない原因の約7割を占める燃焼検知センサーの異常です。代表的なものがダイニチ製品におけるファンヒーター点火エラーE02(着火失敗・途中消火)や、コロナファンヒーターエラーコードの「E0(点火不十分)」「E4(燃焼異常)」です。点火動作の直後に消火してしまう現象の多くは、炎の導電性を検知するフレームロッドシリコン付着によって発生します。
ヘアスプレー、洗い流さないトリートメント、柔軟剤、家具用ツヤ出し剤に含まれるシリコーン化合物は、室内の空気とともにヒーター内部へ吸い込まれます。燃焼部で高熱に晒されたシリコーンは絶縁体である二酸化ケイ素(シリカ)へと化学変化を起こし、炎検知棒(フレームロッド)の表面を白いガラス状の膜で覆ってしまいます。その結果、火がついているにもかかわらず「火が消えた」と安全マイコンが誤認し、緊急停止を繰り返す仕組みです。
一方、より危険度が高いのがファンヒーター白煙異臭の理由となる気化器の閉塞やタール化です。前シーズンの余り灯油(変質灯油・酸敗灯油)や、日光・雨水が混入した不良灯油を使用すると、灯油をガス化させる気化器内部のニードルバルブにタール状の燃えカスが固着します。気化不十分のまま灯油が噴霧されることで不完全燃焼を起こし、目に刺さるような異臭や白煙、黒煙を噴出させる原因となります。