ネット上のコミュニティやSNSでは、「昭和の有名俳優や大御所タレントの肌に見られる凹凸は天然痘の後遺症ではないか」という噂が散見されます。しかし、公衆衛生の記録と照らし合わせると、これは明らかな事実誤認です。
日本国内における天然痘の自発的発生(自然感染)は1955年(昭和30年)を最後に完全に途絶えています。したがって、1960年代以降に生まれた現代の芸能人や著名人に残る肌の凹凸は、重度のニキビ跡(尋常性痤瘡の瘢痕)やクレーター状の皮膚疾患によるものであり、天然痘とは一切関係がありません。
ただし、1970年代中盤(日本では1976年)まで実施されていた定期予防接種としての「種痘」の痕跡(上腕に残る丸い瘢痕)は、40代後半以上の世代には現在も見られます。この「種痘跡」と「病気自体の痘痕(あばた)」が混同されて語られるケースが多い点には留意が必要です。