アパレルショップやECサイトで目的のアイテムに辿り着けない最大の障壁は、形状や用途によって呼称が細分化されている点にあります。一般に「ワンピースの下に履くパンツ」と呼ばれるアイテムの正式名称は、現在「ペチパンツ(キュロットペチコート)」が業界標準の総称となっています。しかし、歴史的背景や丈の長さによって複数の呼び名が存在するため、まずはその定義を整理しておく必要があります。
もともと中世ヨーロッパのペチコート(petticoat)はスカート状の裾よけであり、スカートのシルエットを膨らませたり、アウターへの汚れ移りを防いだりする目的で着用されていました。これが20世紀以降に実用的なアンダーウェアへと簡素化され、さらに動きやすさを追求して「股部分が二股に分かれたパンツ型」へと進化したものがペチパンツです。
市場では以下のように呼び分けられています。
- ペチパンツ/キュロットペチコート:太ももから膝上あたりまでを覆うパンツ型のインナー。最も汎用性が高く、現在の主流。
- タップパンツ(ショート丈インナーパンツ):股下が2〜5cm程度と極めて短いショーツ感覚のフレアパンツ。ミニ丈ワンピースやタイトな服に向く。
- スリップ:上半身のキャミソールとペチコートが一体化したワンピース型インナー。上下のコーディネート不要で胸元から太ももまで一気にカバーできる。
- ドロワーズ:裾にレースやフリルがあしらわれた長めの見せパン・アンダーパンツ。ロリータファッションやヴィンテージスタイルで多用される。
大手下着メーカーの製品開発担当者によると、「かつてはスカート型のペチコートが売れ筋の8割を占めていたが、2020年代半ば以降はペチパンツが9割以上のシェアを握る逆転現象が起きている」と証言しています。自転車の利用増やアクティブな日常動線において、めくれ上がりや内ももの汗を気にする現代女性のニーズが、パンツ型への完全移行を後押ししたと言えます。