ネット上の情報やマネー系掲示板で流布されている言説の中には、制度の断片だけを捉えた危険な誤解が少なくありません。代表的な3つの盲点を是正します。
誤解①:「退職金をもらうと翌年の住民税で破産する」
これは最も多い誤解です。通常の給与所得者の場合、住民税は前年の所得に対して課税されるため、退職した翌年に高額な住民税の納付書が届いて苦しむケースがあります。しかし、退職金そのものに対する住民税は、支払われる段階で天引き(現年分離課税)されています。翌年に退職金額を理由とした追加の住民税が請求されることは制度上あり得ません。翌年に住民税が高額になる理由は、退職金ではなく「退職前年の給与ボーナスが高かったこと」が原因です。
誤解②:「退職金を複数社からもらっても、それぞれで控除枠がフルに使える」
同一年内に2社以上から退職金を受け取る場合や、前年以前4年以内(iDeCo受取等の場合は直近19年以内)に他の退職金を受け取っている場合、重複期間の勤続年数を控除額から除外する調整計算が行われます。複数社から受取予定がある場合は、控除枠の重複計算により2社目の手取りが想定よりも大幅に目減りします。
誤解③:「退職所得控除は非課税枠だから、余ったら翌年に繰り越せる」
控除額はあくまでその退職手当等の計算時のみ有効な枠であり、使い切れなかった控除枠を翌年の給与所得や雑所得に充当したり、将来へ繰り越したりすることは一切不可能です。