春駒の門を叩く際、多くの人が抱く「本店至上主義」という先入観は、天満の現場においては必ずしも当てはまりません。1953年創業の歴史を誇る春駒本店(大阪市北区天神橋5丁目)は、カウンター主体の狭小な空間に職人の熱気が立ち込める「昭和の寿司屋の原風景」を残す名店です。しかしその構造上、収容人数は限られ、行列は外のアーケード通りに直接露出する形となります。
一方、そこから目と鼻の先にある春駒支店は、より近代的な店舗設計と高い収容能力を備えています。提供される魚介の仕入れルートや仕込み、職人の握りの技術水準、価格帯に至るまで本店との間に優劣の差は一切存在しません。決定的な差を生み出しているのは、純粋な「空間構造」と「待機環境」です。
実地調査による計測でも、同じ20人の行列が発生している場合、店内に案内されるまでの所要時間は支店の方が約15〜20分程度短いという結果が出ています。席数の多さが生み出す回転の力は、タイパを重視する現代の食文化において大きなアドバンテージとなっています。