近年、画像編集アプリやスマートフォンの機能向上により、写真内の不要な物体を一瞬で消し去る技術が一般化しました。その影響で、「TikTokウォーターマーク削除ツール」や「AI消しゴム」を使い、他人の動画やイラストからロゴやIDを消去して別のSNSに再投稿するユーザーが後を絶ちません。しかし、この行為は極めて悪質な違法行為であり、法律上重大な責任を問われることになります。
日本の著作権法第113条第3項では、著作物の権利関係を示す情報(著作者名、著作権表示、電子透かしなど)を「権利管理情報」と定義しています。法律は、正当な権利者の許諾なく、この権利管理情報を故意に除去・改変する行為そのものを「著作権侵害とみなす」と明確に定めています。
ネット上の掲示板や知恵袋などでは、「個人で楽しむ範囲なら消しても問題ない」「ロゴを消しただけなら転載しても著作権侵害にはならない」といった無知に基づく言説が散見されますが、これは完全な誤解です。透かしを消去して再投稿する行為は、単なる無断複製(著作権侵害)にとどまらず、著作者人格権(氏名表示権)の侵害や権利管理情報の改変という二重、三重の違法性を帯びます。
裁判実務においても、意図的にウォーターマークをトリミングしたり画像修正で削り取ったりした事実は、「著作権を故意に踏みにじった悪質性の決定的な証拠」として扱われます。結果として、通常の無断転載よりも損害賠償額や慰謝料が跳ね上がるだけでなく、著作権法違反(10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金、またはその両方)としての刑事責任追及に発展する事例も報告されています。