レンタカーの予約サイトで「9人乗り」を探しても見つからない理由は極めて明快です。現在、日本の自動車メーカーが一般ユーザー向けに製造・販売している乗用ミニバンの中に、9人乗り ミニバン 国産車という規格そのものが事実上存在しないためです。
かつての昭和から平成初期にかけては、前席が3人掛けのベンチシートになった商用ワンボックスカーや一部のワゴン車で、前列3人+2列目3人+3列目3人の「計9人乗り」という仕様が散見されました。しかし、2000年代以降に進んだ保安基準の改正により、全席への3点式シートベルト装着の義務化や、前席エアバッグの標準化、衝突安全ボディの要件が厳格化。運転席と助手席の間に安全かつ快適な補助席を設けることが構造上極めて困難になりました。
現在でも日産の「キャラバン 9人乗り仕様(バンVXグレードなど)」のように、前列3人×3列の商用バンモデルは法人向けとして一部製造されています。しかし、これらはあくまで荷物の配送や作業員の送迎に特化した「貨物車(4ナンバー/1ナンバー)」です。商用バンは乗り心地が硬く、レンタカー大手がファミリーや一般旅行者向けに用意する快適な乗用ワゴン車としては適していません。グローバルな旅行検索サイトなどでは海外仕様の9人乗りバンがヒットすることもありますが、日本国内の店舗で貸し出される乗用ワゴンは、7~8人乗りの次が「10人乗り」に設定されているのが現場の業界常識となっています。