地震の揺れを正しく理解し、適切な避難行動を取るためには、P波と対をなすS波(Secondary Wave=第二の波)との違いを把握することが欠かせません。学校教育の理科でも習う基本概念ですが、防災の現場や構造力学の視点から見ると、両者には建物を破壊するエネルギーの伝わり方に根本的な断絶が存在します。
以下の比較表は、気象庁および防災科学技術研究所(NIED)の技術公開資料をもとに、P波とS波の物理的・工学的差異を体系的に整理したものです。
表から明らかな通り、S波は物体を横方向にねじる「剪断(せんだん)変形」を伴うため、液体や気体のように形を保つ復元力を持たない物質の中を進むことができません。一方、P波は物質が圧縮された際の反発力を頼りに進むため、岩石のみならず地下水や海水、さらには大気中まで伝播します。海上の船が地震の際に「海底から何かが突き上げたような衝撃」を感じる現象(海震)は、海底の岩盤から海水へとP波が縦波のまま音波として伝わることで発生する典型例です。