注射した箇所が赤く腫れ上がり、触ると熱を帯びて硬いしこりのようになる現象は、医学的には「局所性副反応(局所反応)」に分類されます。厚生労働省の公表データによると、インフルエンザワクチンを接種した人のうち約10〜20%に注射部位の腫れ、赤み(紅斑)、疼痛が認められており、決して珍しいトラブルではありません。
この腫れが生じる決定的な理由は、体内に入った不活化ワクチン(ウイルスの感染力をなくした成分)を白血球などの免疫細胞が「異物」と認識し、攻撃・記憶しようと激しく活動を始めるからです。免疫システムが作動すると、患部の毛細血管が拡張して血流が急増し、血管から組織へリンパ液や白血球が染み出します。その結果として、皮膚が赤く盛り上がり、内部の圧力が高まることでズキズキとした痛みを伴うようになります。
また、触った際に「筋肉の中に硬い芯がある」ように感じるケースも目立ちます。これは皮下組織や筋肉組織で起きた急激な炎症反応により、組織が一時的に緊張・浮腫を起こしているためです。基本的には免疫がしっかりと機能している証左であり、毒素が体内を巡っているわけではありません。