実際に書き始める際、ゼロから文章を組み立てるのは骨が折れる作業です。ここでは、コンクールで好印象を残す実践的な書き出しの型を4つの系統に分類し、中学生・高校生それぞれの視点に合わせた例文を紹介します。自分の書きたいテーマや直近の体験に合わせて選ぶだけで、スムーズに書き出しを突破できます。
1. 会話・つぶやきから入る「セリフ型」(中学生におすすめ)
作文の冒頭にカギ括弧「」を使った印象的なセリフを配置する手法です。視覚的にも目立ち、読者を一瞬でその場面の空気感に引き込む効果があります。
【例文】
「えっ、100円ショップなのに110円払うの?」
私が初めて消費税という存在を意識したのは、小学校低学年の頃、お小遣いを握りしめて文房具を買いに行ったときのことだった。当時の私にとって、値札の数字より多くのお金を請求されることは理不尽そのものであり、「なぜ余計なお金を取られなければならないのか」と強い不満を感じたことを鮮明に覚えている。しかし、中学生になり公民の授業を受けた今、あのときの10円がどこへ向かい、どのように形を変えて私の生活を支えているのかを知ることになった。
2. 身近な実体験・買い物から入る「消費税ネタ体験談型」(中学生・高校生共通)
もっとも身近な消費税を切り口にしながら、日常のささやかな疑問を提起する王道のアプローチです。
【例文】
財布の中に残っていた小銭をかき集め、コンビニエンスストアでパンと牛乳を買い、手渡された長いレシートをぼんやりと眺めた。合計金額の下に印字された「うち消費税等」の数字を見るたび、私はどこか損をしたような、わずかな重苦しさを感じていた。自分のお金が減る痛みにばかり気を取られていたからだ。だが、その日の帰り道、夕立で冠水しかけた道路を整備する作業員の方々の姿を目にしたとき、私の手元から離れた数十円の行方が、突如として現実の風景と結びついた。
3. 意外な数字や問いかけから入る「問題提起型」(高校生におすすめ)
高校生らしい知的な深みと客観性をアピールしたい場合、具体的なデータや社会の疑問を投げかける導入が効果を発揮します。
【例文】
日本の年間国家予算のうち、社会保障関係費が占める割合はおよそ3割を超える。この数字をニュースの画面で目にしたとき、私と同世代の若者の多くは「少子高齢化だから仕方がない」「遠い未来の負担の話だ」と他人事のように受け流してしまうのではないだろうか。かく言う私もその一人だった。しかし、祖母の介護保険サービスの利用現場を間近で目撃し、自らが日常的に受けている義務教育や公的医療の恩恵を金額として換算してみたとき、この数字は単なる統計ではなく、私たちが次世代へ手渡すべき「社会の存続チケットの価格」であると気付かされた。
4. 現場の風景や社会情勢から入る「現場観察型」(高校生・入賞狙い)
地域の公共インフラ、災害復旧、医療の現場など、実際に足を運んだり見聞きした事実から書き起こす論理的なスタイルです。
【例文】
毎朝、何気なく自転車を走らせているアスファルトの舗装道路。信号機が正しく点滅し、街灯が夜道を照らし、救急車のサイレンが遠くで鳴り響く。私たちはこうした「何事もない日常の安全性」をまるで空気のように当たり前のものとして享受している。だが、昨年の夏に私の住む地域を襲った記録的な豪雨災害の爪痕と、そこから驚くべき速さで進んだ復旧工事の現場を目の当たりにしたとき、その日常の背後にどれほど莫大な税金と公的支援が注ぎ込まれているかを痛感せざるを得なかった。