森見登美彦の書籍おすすめ読む順番と最高傑作の理由を徹底検証

森見登美彦の書籍おすすめ読む順番と最高傑作の理由を徹底検証

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作品ごとの受容のされ方を検証するうえで欠かせないのが、2018年に発表され大きな話題を呼んだ大作『熱帯』をめぐる読者の反応です。ネット上の書評サイトやSNS、読書メーター等のログを調査すると、熱帯 森見登美彦 評判は歴代作品の中でもとりわけ両極端に割れています。

絶賛派の声としては、「誰も結末を覚えていない幻の本を追ううちに、現実と物語の境界が溶け出していく感覚がたまらない」「ボルヘスやカルヴィーノを思わせる千一夜物語的な入れ子構造に圧倒された」という、純文学・本格幻想文学としての完成度を称える意見が目立ちます。高校生直木賞を受賞したことからも明らかなように、物語の迷宮に身を委ねる喜びを知る読者にとっては、生涯の一冊になり得る強度を持っています。

一方で、手厳しい意見として散見されるのが「いつものテンポ良い京都の学生コメディを期待して読んだら、途中で迷子になって挫折した」「結局どういうオチなのか論理的な説明がつかない」という戸惑いの声です。この事実は、森見登美彦という作家の作品群が「疾走感のあるエンタメ」と「構造を味わう思弁的小説」の二層に分かれていることを物語っています。

さらに、近年刊行された『シャーロック・ホームズの凱旋』においても同様の傾向が見られます。名探偵ホームズがスランプに陥り「謎が解けない」鬱屈した状態から始まるこの物語は、作家自身が直面した創作上の苦悩やスランプの経験が生々しく投影されており、初期作のような底抜けの明るさとは一線を画す静謐で切実な読後感を残します。「著者の執筆人生そのものと重ねて胸が締め付けられた」と語る長年のファンが多い一方、軽快な謎解きを期待した層との間で評価のギャップが生じているのが実態です。

田中 結衣
著者

田中 結衣

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。