のし袋に文字を書く際、手元にある黒のボールペンや極細サインペンで済ませようとする保護者が見受けられます。しかし、神事の現場においてボールペンや万年筆の使用は完全なマナー違反と判断されます。その理由は、単なる見た目の問題だけにとどまりません。
古来、神仏への奉納文言言や祝詞、目録は毛筆によって墨で清書されてきました。細いボールペンは事務処理や私的なメモに用いる道具であり、神様に供物を捧げる厳粛な儀式において「事務的な片手間」という印象を与えてしまいます。また、ボールペンの硬く細い線は祝い事特有の「太く力強い実り」を表現する筆跡として不適切とされてきた歴史的背景が存在します。
表書きを記す際は、必ず毛筆または濃い黒の筆ペンを用意します。ここで注意したいのがインクの濃度です。葬儀や法要などの弔事では「涙で墨が薄まった」という意味を込めて薄墨(うすずみ)を用いますが、七五三は子どもの命の躍動を祝う慶事です。薄墨の筆ペンを誤用すると不祝儀を連想させるため、必ず漆黒の濃い墨を選びます。
表書きの上段中央には「御初穂料」または「初穂料」と太く明瞭に書き記します。水引の下段中央には、ご祈祷を受ける子どものフルネームを配置します。このとき見落としがちな重要ポイントが「ふりがな」の存在です。神社では神職が神前で祝詞(のりと)を奏上する際、子どもの名前を声に出して神様に告げます。難読漢字や多様な読み方が存在する現代において、名前の右隣に小さくふりがなを添えておく心遣いは、現場の神職からも高く評価されています。