身柄を拘束する刑事施設として混同されやすいのが「留置所」「拘置所」「刑務所」の3棟です。一般にはひとくくりにされがちですが、管轄する省庁、収容される人物の法的立場、そして施設の目的はまったく異なります。
法的な正式名称において、留置所は「留置施設」と呼ばれ、警察庁(各都道府県警察本部・警察署)が管理・運営しています。これに対し、拘置所と刑務所は法務省(矯正局)が所管する施設です。日本の刑事司法において最大の特徴となっているのが、本来は法務省管轄の拘置所に収容すべき未決拘禁者(判決が確定していない被疑者・被告人)を警察署内の留置場に収容することを認めた「代用刑事施設(旧称:代用監獄)」制度です。捜査機関である警察が自らの手元に容疑者の身柄を置き続けるこの仕組みは、自白強要の温床になりかねないとして国内外の法曹関係者から長年議論の対象となっています。
刑事裁判で有罪が確定していない以上、留置所にいる被疑者は憲法上「推定無罪」の身分です。そのため刑務所のような工場作業の義務はありません。しかし実態としては、すぐ隣の取調べ室で連日厳しい追及を受けるため、精神的な負荷は拘置所よりもはるかに重いと指摘されています。