委託販売とは、自社(自身)の商品を代理で販売してもらうため、小売店や専門業者などの販売先へ商品を預け、実際に顧客へ商品が売れた段階で所定の販売手数料を差し引いた代金を受け取る取引形態です。法的には「委任」または「準委任」に近い性質を持ち、商品を預けた側の販売主を「委託者」、販売場所を提供して代理販売を行う店舗側を「受託者」と呼びます。
この取引における最大の特徴は、「商品がエンドユーザーに売れるその瞬間まで、商品の所有権は委託者に留保されている」という点にあります。これが、従来の「買取販売」との決定的な違いです。買取販売では、小売店が商品を仕入れた時点で所有権が店舗側に移転します。そのため、商品が売れ残っても小売店の責任となり、仕入代金は売れ行きに関係なく製造者・卸元へ支払われます。一方、委託販売では店頭に何ヶ月陳列されようとも所有権は出品者の手元にあるため、売れ残ればそのまま返品され、売上は1円も発生しません。
百貨店や大型商業施設で広く採用されている「消化仕入れ(売上仕入)」との混同も目立ちます。消化仕入れは、顧客がレジに商品を持ってきてバーコードを読み取った瞬間に「納入業者から百貨店への売買(仕入れ)」と「百貨店から顧客への売買(販売)」が法的に同時成立する売買契約です。対して委託販売は、受託者が委託者の「代理または取次ぎ」として商品を販売する代行関係であり、会計上・税法上の取引主体や責任の所在が異なります。
商取引において委託者と受託者の責任範囲を明確に切り分けておかなければ、納品後の商品管理や金銭精算を巡って致命的な認識のズレが生じることになります。