話題の自主警察は合法か?私人逮捕の法的限界と自警団に潜むリスク

話題の自主警察は合法か?私人逮捕の法的限界と自警団に潜むリスク

話題の自主警察は合法か?私人逮捕の法的限界と自警団に潜むリスクとはどのようなものなのか? 背景や要点を丁寧に紐解いて紹介します。

自主警察を名乗る人物たちが免罪符のように口にするのが「私人逮捕」です。一般市民であっても現行犯人を逮捕できるとする制度ですが、自主警察の逮捕権という特別な権利が存在するわけではありません。一般人による逮捕権は刑事訴訟法第213条に規定された「現行犯逮捕」に限定されており、その適用には極めて厳しいハードルが設けられています。

法律上認められる私人逮捕の成立要件は、主に以下の3点すべてを満たしている必要があります。

第1に、「犯罪が現に行われている、または行われた直後であること」が客観的に明白でなければなりません。「過去に盗撮をしたと噂されている」「怪しい挙動をしている」といった主観的な疑いだけで拘束することは絶対に許されません。第2に、犯人が明白であること。そして第3に、軽微な犯罪(30万円以下の罰金、拘留、科料に当たる罪)の場合は、犯人の住居・氏名が不明であるか、犯人が逃亡する恐れがある場合に限られます。

さらに見落とされがちなのが、拘束時の実力行使の限度です。相手の腕をねじ上げる、路上に押し倒す、鞄を奪い取る、進路を執拗に塞いで逃げられなくするなどの過度な制圧は、過剰防犯による暴行罪(刑法第208条)や傷害罪(刑法第204条)、さらには逮捕・監禁罪(刑法第220条)に問われます。実際に、過剰な私人逮捕を試みた動画配信者が、逆に被疑者として逮捕・起訴される事案が刑事裁判で確定判決となっており、正当防衛の枠組を超えた実力行使には極めて重い刑事責任が科されます。

井上 凛
著者

井上 凛

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。