鮮烈なデビューを果たした中谷美紀だが、その後のキャリア形成は決して平坦な一本道ではなかった。アイドル活動に葛藤を抱えながらも、彼女は着実に表現者としての地歩を固めていく。
音楽プロデューサー・坂本龍一との運命的な出会いによって独自の音楽世界を切り拓いた後、女優として決定的な転機となったのが1999年の主演ドラマ『ケイゾク』(TBS系)である。天才的な頭脳を持ちながら風変わりな刑事・柴田純役を怪演し、第22回ザテレビジョンドラマアカデミー賞主演女優賞を受賞。一躍、実力派トップ女優としての評価を決定づけた。
その後も映画『嫌われ松子の一生』(2006年)で日本アカデミー賞最優秀主演女優賞に輝き、大ヒットドラマ『JIN-仁-』(TBS系)では花魁・野風役として圧巻の気品と情感豊かな演技を披露。デビュー作『ひとつ屋根の下』で見せた小さな煌めきは、妥協なき演技への情熱を通じて大輪の花を咲かせることとなった。